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“イザ”に備えることが最優先

認知症徘徊には目的や原因があります。一番初めにすることは、「市区町村や地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職に相談する」ことです。お住まいの市区町村・地域で早期発見ができるように緊急連絡先や写真などの情報を「事前登録」することもできます。そのうえで、徘徊する目的や行動パターンを理解し”イザ”に備えることです。

認知症徘徊の対応は、本人の活動の自由(尊厳、徘徊が運動となり症状の緩和にも関係する)と安全を確保するという相反する性質があるため、対応方法は家族の価値観や考え方によって大きく異なるという現状もあります。また、玄関や部屋、ベランダ等のドアに鍵をつけ外出を制限することは周辺症状(BPSD)[せん妄、抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想など]を誘発し、介護負担を逆に増やしてしまうという症例や災害時に避難ができないこともありますので、ご家族で慎重な判断が必要です。

すぐに実践できること

名前と連絡先を書き“イザ”に備える

最も手軽にできるのが身に付ける洋服やカバン、靴等に名前と連絡先を記入(アイロンプリント等)することです。認知症は一見では見極めが難しく、名前等が記載されていることで保護した人が認知症徘徊に気づきスムーズに対応することができます。

行動パターンを把握する

万が一徘徊しても「きっと●●にいるだろう」と予想ができると、初動時にも大きなヒントのひとつになります。仮にGPSを持ち出さず徘徊しても、行動パターンを把握しているのと、手当たり次第に探すのでは大きな違いがあります。徘徊時の捜索で、早期に電話で確認できるように予め立ち寄り先の電話番号を把握しておきましょう。

言葉と文字の認識は異なる場合も
掲示物の設置

例えば、夏場に「暑いし、熱中症にならないように水分補給してね」と伝えても、そもそも冷蔵庫がどこにあるかかわからないというケースもあります。言葉だと伝わらない、言葉だと怒られていると認識してしまうケースもありますので、掲示物で注意喚起する方法もあります。以下より注意喚起用の掲示物を印刷できますのでご活用ください。

気付く、限定する、制限する

人感センサーで人の動きを把握

補助錠を活用して出入口を限定

玄関に外鍵を付け外出制限

自宅にご本人しかいない状況で、全ての出入り口を施錠すると災害時に避難ができませんので、ご家族の慎重な判断が必要です。

サッシや窓など出入りが可能な場所に「補助錠」を取り付けているケースもあります。「補助錠」は防犯(外から開かない)が主目的のため、室内から取り付けるのでご自身で鍵を開けることもできますが、これまでのケースですとご自身で鍵を外す可能性は低いと考えられます。出入り口を玄関などに限定し、玄関に以下のような「人感センサー」を設置している場合もあります。「補助錠」で出入り口を限定し、玄関などに人感センサー(チャイム)を設置しているケースもあります。送信機を玄関(1階)に設置し、受信機を夜間は枕元(2階)、日中は聞こえやすい場所に移動させる方もいます。受信機は音や光で動きを教えてくれますが、夜間熟睡により音に気付かない場合もあります。夜間や急な外出時に家から出れないように外鍵を付けるケースもあります。「補助錠」と同様に室内から設置をするため、室内から取り付けるのでご自身で鍵を開けることもできます。また、火災や地震などの災害発生時に、ご本人だけで外に出られないということも考えられます。

行方不明になった場合は最寄りの警察署へ「捜索願」を提出し、行政やケアマネジャー、関係者に連絡をしましょう。また、行方不明のまま見つからない場合は各市町村において保護されている場合がありますので、厚生労働省の「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」を参照してください。