参考事例

GPS活用事例(実際に当センターの端末を利用しているお客様より)

認知症徘徊GPSセンターは、2017年7月に運営を開始し、全国47都道府県のお客様にご利用いただいております。

警察庁の「令和3年における行方不明者の状況」によると、統計の残る昭和31年以降で最小となった令和2年(77,022人)と比較すると令和3年は2,196人の増加となり、79,218人となりました。驚くことに、警察に行方不明者届が出された者の数の1日平均2,640人にもなります。そのうち、所在が確認された者は65,657人となり、実に13,561人の所在が確認されていないということになります。

また、行方不明の原因・動機別では、疾病関係が23,308人(構成比29.4%)と最も多く、このうち認知症又はその疑いによるものは17,636人(令和元年17,479人)となり、1日48.3人(令和元年47.9人)の方が認知症又はその疑いによって、行方不明となっていることとなります。

ここで注目すべきデータは、届出受理から所在確認(死亡確認、その他を除く。)までの期間は、受理当日が最も多く33,650人、次いで2日~7日以内の21,097人となり、8日~14日は1,966人と極端に低くなるため、まず行方不明になったことを早く察知し、すぐに探し始めることが重要だということが言えます。

しかし現実としては、例え同居している場合であっても24時間見守り続けることは不可能であり、ましてや同居せず離れて暮らす家族が行方不明になったことを早く察知するのは難しい状況となります。老人ホーム等の介護施設の場合、玄関ドアはオートロックになっているケースが多く、施設内に入る場合も、出る場合もスタッフ等により開錠が必要となりますが、そのような設備があっても入居者家族や医師の訪問、業者の方々の出入りの隙に認知症の入居者が一人で施設から出てしまうことも稀にあります。

だからこそ、早く察知して、早く探して、早く保護する仕組みが重要だと考え、私たち認知症徘徊GPSセンターでは、GPS端末機を活用した見守りを安価に手軽に利用できるようにサービスを提供しています。

今回は、GPS活用の事例を7つ紹介したいと思います。

■認知症徘徊GPS活用事例1(お散歩が徘徊に)
ご本人とご家族とは同居ではなく車で30分程度離れた場所にくらしている。天気が良いとお散歩(徘徊)してしまうとの理由でGPSを専用シューズに入れて家族が見守りをしている。自宅から外出したことをGPSで確認したため、家族が位置を確認しながら探し始め、ご本人は近隣の知人宅(室内)内で発見。

■認知症徘徊GPS活用事例2(入院中に失踪)
過去に入院中に失踪したことがあり、病院・家族と大慌てとなった。再度入院することとなり、病院と家族で話し合った結果、GPS活用することになった。失踪はしなかったものの、病院や家族の安心としてGPSを活用した。

■認知症徘徊GPS活用事例3(シルバーカーで徘徊)
シルバーカーを利用したご本人が、自宅から10キロ程度離れた場所で警察に保護され家族に連絡が入った。普段は近隣のスーパーに買い物に行き、自宅に戻っていたが、道を間違えてしまった様子だった。その後、シルバーカーにGPSを装着し、自宅から半径200メートルを超えた場合家族にメールが届くように設定し、見守りを続けている。

■認知症徘徊GPS活用事例4(旅行先で徘徊)
家族と旅行中にホテルで朝食を食べ、ご本人がトイレに行くと席を立ったまま戻ってこないためホテルスタッフとホテル内を探し始めた。ホテル内にはいなかったため、ホテル近隣を探し始めたところご本人を発見し保護した。それ以降、外出や旅行時はGPSを活用することになった。

■認知症徘徊GPS活用事例5(介護施設からで徘徊)
老人ホームに入居している方が早朝にパジャマのまま徘徊してしまう。玄関ドアは暗証番号を入力しないと施錠されないドアになっているが、食堂から庭に出るドアやスタッフ用の裏口から鍵を開けて屋外に出てしまう。老人ホームの設備を変えることは難しいため、施設とご家族で話し合いの結果、GPSを活用することになった。

認知症徘徊GPS活用事例6(電車で1時間離れた場所で保護)
高齢夫婦で暮らし、子どもは遠方に暮らしている。ご本人が電車で出かけていたが、最近になり帰りが遅くなり事情を聞いても「大丈夫」と家族も認知症を疑い始めた。念のため、GPSを活用し、御守りとして愛用のカバンにつけたところ、いつもとは反対の電車に乗ってしまい、1時間離れた場所で親戚が保護した。

■認知症徘徊GPS活用事例7(警察に何度も保護された)
同居しているものの、目を離すと徘徊してしまい、何度も警察のお世話になっている。家から出られないように鍵を増設しようと思ったが、可愛そうという話になり、警察の方からGPSの携帯をすすめられたこともあり、GPSを活用した。

認知症の徘徊はそれまでの生活歴や職業歴、年齢、性別、お体の状況等によって本当に様々なパターンがあります。私たち認知症徘徊GPSセンターのお客様も、実際に行方不明になった方や警察に保護された方が、また次徘徊してしまったら困るし、精神的に負担が大きいから安心材料としてGPSをレンタルする方もいらっしゃいます。

やはり大切なことは万が一に備えることではないかと思います。その方法は認知症徘徊に特化したGPSの活用や、近所の方に話しておく、洋服に名前と連絡先を記載する、行政に相談する等、決して一つだけではなく、二重、三重と様々なパターンを組み合わせておくことも重要です。子供であれば、泣くことや一人でウロウロしていれば、周りが迷子に気づき手を差し伸べてくれますが、大人(認知症の徘徊)ですと、周りをジロジロみていたり、独り言を話していたりすると不審者と間違われてしまい、声をかけられず結果的に遠方に行ってしまったり、保護が遅れることもあります。いち早く徘徊に気づき、早く探しはじめて、早く保護することが大切ですので、ご家族でよく話し合って、ご本人もご家族も安心できる環境を築いていただければと思います。

※GPS活用事例は一部内容を改変していますので予めご了承ください。

 

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