新型コロナウィルス感染症と認知症徘徊に関する因果関係について、何らエビデンス(証拠・根拠)はありませんが、事実としては以下の通り、昨年に比べて認知症徘徊GPSセンターの申込が増えています。
◎2月~10月の申込件数は昨年の160%に増加している
では、何故認知症徘徊GPSセンターの申込が増えているのかを考えました。
(広告を出した、口コミが増えた等の内的要因は無しとしたうえで考察)
●申込増加の要因を考察
・外出自粛により、社会との関わりが減少し、ストレスが増加した
・以前の習慣(散歩、買い物、外出等)ができなくなった、または少なくなった
・コロナウィルス感染症に関する心理的な要素(不安、怒り)
・同居家族の在宅時間(外出自粛、仕事の制限等)が増えた
・同居、別居家族が親等にかける、知る時間・機会が増えた
・介護サービス(デイサービス、デイケア、ショートステイ等)の利用頻度が低下した
・通院等(病院、クリニック、接骨院等)の減少(薬剤減少や変更による)
・馴染みの場所が閉まっていたため、別の場所に行く、または探すことで道迷いが増加した
・孫や地域、町内会等で人に会う、地域活動の機会が減った
・テレビ番組の変更、スポーツ番組等の自粛により時間ができた
上記の申込増加の要因の考察は、私たちの考えの一例で正解はありません。
ただ、認知症の徘徊のきっかけは「環境の変化」で現れることも多いです。
私たち認知症徘徊センターでも、購入やレンタルの申込時に、徘徊のきっかけ(調剤変更、居住変更、家族関係)等もご記載いただいています。
新型コロナウィルス感染症と認知症徘徊に関する因果関係は、私たちでもはっきりしたことはわかりません。
ただ、通常に暮らす私たちも、この新型コロナウィルス感染症の影響で、生活環境は大きく変化しました。
認知症の方も同様に、テレビや新聞、家族、馴染みの関係の中からこの状況もインプットされていると思います。
徘徊させないように「家から出られないように鍵をかける」では、徘徊をするご本人や介護をする家族にも、実は大きな負担や心理的ストレスを与えます。災害時の対応難にも繋がります。
まず、以下のように安全対策を行うのも、上手に認知症徘徊と付き合う方法のひとつです。
●簡単にできる徘徊を想定した安全対策
洋服は明るいものや反射素材がある服を選び、アクセサリーを身に付ける
杖、カバン、財布、服等の持ち出しすものに連絡先を記入しておく
玄関に人感センサー等を置き、外出に家族が気付くようにする
自治体、交番、警察署に相談して事前に届出をしておく
上記の他に、認知症徘徊GPSセンターで提供しているGPS端末による位置検索、移動経路の確認も有効な手段です。
実際に探索時にGPSを活用して発見したという効果と、実は探索には使わなかったけど、安心して外出したり、寝られるようになったなど、介護をする家族の心理的な安心を確保するにもお役立ちしているのではないかと思います。
いつまで続くかわかりませんが、新型コロナウィルス感染症と認知症徘徊が上手にウィズコロナできるのか、このあたりは私たち事業者としても考え、改善していく必要があると思います。