認知症徘徊コラム

初めてでも安心!「認知症カフェ」とは?横浜市の取り組みとGPS実演紹介


「認知症カフェってなに?」
「オレンジカフェと何が違うの?」
「認知症カフェに参加してみたいけど不安」

 全国で少しずつ広がっている「認知症カフェ」に対しどのようなイメージがありますか?
認知症カフェに参加してみたいけど、どのような場所なのか分からなかったり、敷居が高そうで参加しにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

 誰でも参加できる認知症カフェは、簡単にいうと情報交換や悩みごとの相談・共有できる場所です。
認知症カフェは、別名「オレンジカフェ」と呼ばれることもあります。
認知症カフェに参加するメリットには、
• 認知症の進行抑制に繋がる
• 孤独感や悩みなどの軽減
• 介護負担の軽減
などが挙げられます。

 また、医師や看護師などの医療専門職やケアマネや介護士などが参加することにより、お互いにより深く認知症に関する知識を深めることができます。

 今回の記事では、「認知症カフェが気になっている」「参加してみたい」と思っている方のために、認知症カフェの横浜市の取り組み例などを紹介していきます。
「認知症カフェに足を運んでみること」を悩んでいる方の背中を少しでも押せたらいいなと思います。
ぜひ最後までご覧ください。

 

1.認知症カフェの取り組み例

 全国で運営されている認知症カフェの名称には「オレンジカフェ」や「たんぽぽカフェ」「ほっこりかふぇ」「げらげら出前カフェ」など馴染みやすい名前やユニークな名前があります。
全国で実施されている認知症カフェの中で、今回は横浜市で筆者がいいなと感じた取り組み例をいくつか紹介していきます。

にっこりカフェ|横浜市南区
 横浜市南区にある「にっこりカフェ」は、認知症の方だけでなく小さいお子さんを連れた若いお母さんや、地域の方も集まる一軒家の多世代交流型認知症カフェです。
お年寄りの方と接する機会もなくなってしまった現代にとって、子どもから高齢者まで多くの世代が集う場所はお互いにいい刺激になります。

みかんカフェ|保土ケ谷区
 「みかんカフェ」は登録している地域のボランティア団体が、さまざまな活動を行なっているのが特徴です。
ヨガや室内カーリング、コーラス、切り絵、マジックショーなどを実施しているようです。

Sカフェ|港北区
 「Sカフェ」はコーヒーの販売など、若年性認知症の方が主体となってカフェを運営しています。
若年性認知症特有の悩みを語り合ったりできるので、若年性認知症を患っている本人やご家族にとっても気軽に話しやすい場所になりそうですね。
若年性認知症の方に居場所・役割を感じてもらうことも、大切にされているようです。

あざみのオレンジバル|横浜市青葉区
 「あざみのオレンジバル」は、夜に貸切営業でカフェを開催し、美味しい食事とお酒をみんなで楽しむことができます。
どなたでも気軽に話し合える場を地元の医師が企画し、お店の全面的な協力を得て開催されています。
また、オンラインでの配信もされているので、直接参加できない方でも配信で一緒に参加することができます。

結うカフェ|横浜市泉区
 「結うカフェ」は「音楽と人を結ぶ、音楽で人を結ぶ」をコンセプトに、2021年10月からスタートした認知症カフェです。
「音楽」を中心に参加者が主体となり運営し、音楽に触れながら「共にいる」感覚を楽しむことができます。
音楽療法士が在籍しており本格的な音楽療法を体感することが可能です。

2.認知症カフェの目的と効果・メリット

 認知症カフェは「認知症になっても安心して暮らせる地域」をそのカフェの中で作りだし、それが地域全体に波紋のように広がることを目指しています。、
また、認知症本人やご家族の孤立を防いだり、サービスや専門職と関わることで、心理的負担の軽減、地域や在宅生活の安定へと繋がっていくことを目標にしています。

 認知症カフェの活動はさまざまで、レクリエーションなどのアクティビティをはじめ、カフェタイム、ミニ講和、介護などの相談が主になります。
介護相談の内容は、
• 認知症について
• 介護保険制度について
• 他家族の介護体験について
が多く寄せられます。

同じような悩みを持つ仲間が集まり相談し合うことで孤独感が減り、ストレスの発散や、困ったことがあっても前向きに捉えられるようになるメリットがあります。

 また、あえて何もアクティビティなどの活動を行わず「憩いの場」として機能している認知症カフェもあります。
「こういった場所に入りにくい」「参加しようか迷っている」と悩んでいる方でも気軽に参加できるよう敷居を低くしています。
「認知症」に捉われず、誰でも入りやすい取り組みをしているということです。

3.認知症カフェの参加者を中心にGPS実演も

 認知症の徘徊行動は、ご家族の悩みの原因の一つであります。
徘徊は困るけれど、外出を楽しんでもらいたいと考える方も多いのではないでしょうか。

 神奈川県大和市では、GPS端末を実際に使って、ご家族がご本人の居場所を調べる「はいかい高齢者等位置確認支援事業」を開催・実演しました。
認知症に対する正しい知識の普及啓発や、当事業の利活用の促進を目的として、認知症高齢者が安心して外出できるよう家族も含めた支援をしています。
参加者の感想は
• 他の人は知る機会がないと思う
• 近所の人や友人など相談を受ければ伝えられると思った
• インターネットとか情報機器は苦手意識がある
などが挙げられました。

 苦手意識がある方にとって、GPS端末の実演は良い機会になったのではないかと思います。
GPS端末があるのとないのとでは、徘徊発覚時から発見までに大きな時間の差が生まれてしまうこともあります。
もしもの時のためにもGPS端末を持っていれば、本人・家族ともに安心できるでしょう。

4.まとめ

 長期的に認知症カフェを利用することがもたらす効果は大きく、認知症患者や家族の孤立を防ぐほか、人と人・地域社会への繋がりを作ることができます。
認知症カフェ(オレンジカフェ)は、認知症本人やその家族にとって心の憩いの場であると同時に、私たち医療・介護従事者にとっても、認知症についてより深く理解していける場所として広がっていくことでしょう。
「認知症」で悩んでいる方のために、少しでもより良い地域社会になっていくことを願うばかりです。

参考記事
・私たちの暮らしと認知症カフェ
・認知症ケア研究誌 A県における認知症カフェ事業の現状と運営課題
・よくわかる! 地域が広がる 認知症カフェ
・「HAMA OLE! Vol.2」(横浜市)
・大和市でのGPS体験会 「安心して外出しよう!GPS体験会」を開催しました

https://www.ninchisho-haikai-gps.com/gps_rn/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士8年目の30代3児の母。介護職の楽しさを発信するためwebライターとしても活動中。大学卒業後、金融機関に就職するもやりがいを感じられず介護職に転職。デイサービス→結婚を機にリハビリ施設へ。介護士として毎日楽しく高齢者に寄り添いながら働いています。

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