「認知症」というと65歳以上の高齢者が発症するイメージが一般的ですが、65歳未満で発症する「若年性認知症」もあります。
全国の若年性認知症(18〜64歳)患者の総数は、2020年時点で3.57万人と推計され、発症年齢は50歳前後です。
そのため、物忘れや仕事のミスの重なりなど少しの異変があっても認知症とは結び付きにくく、症状が顕著に現れないと認知症と分からないことがほとんどであり、早期発見が重要になってきます。
少しでも認知症の症状が感じられたら主治医や物忘れ外来、認知症疾患医療センターなどに受診して相談しましょう。
若年性認知症は若さゆえに外見では認知症と分かりにくく、介護する家族も含めさまざまな生活課題に直面しています。
● 徘徊した際に重大な事故に繋がってしまう
● 若くしての発症は介護期間が長くなる
● 本人や家族の就業が難しくなる
など多くの問題を抱えています。
特に、徘徊においては高齢者と異なり歩くスピードが速く広範囲で、周囲からも徘徊と認識されず発見までに時間がかかってしまいます。
事故を防ぐためにも、事前にGPSを導入して安全対策をしておくと安心です。
今回の記事では、若年性認知症の方の徘徊について、GPSの使用が負担軽減に繋がる理由を詳しく解説しています。
1.若年性認知症が生活に及ぼす影響
若年性認知症発症後の生活への影響はさまざまで、仕事や子どもの養育、経済的問題など多岐にわたります。
主な介護者は配偶者がほとんどのため、身体的・精神的負担が配偶者に大きくのしかかり共倒れしてしまうことも。
それらを避けるためにも、地域の福祉サービスや身近な親族などの協力も得ながら介護できると良いでしょう。
本人と家族の仕事への影響
若年性認知症と診断されたら、働き盛りの本人や主となる介護者は、休職・退職という選択を余儀なくされ経済的にも厳しくなることもあります。また親の病気が子供に与える心理的影響も大きく、その後の人生設計に大きく影響を及ぼすこともあります。
複数介護になる場合も
一緒に住んでいる家族が若年性認知症を発症した場合、親世代の介護も必要になったときに介護者は二重介護になる可能性が高くなります。
複数介護になってしまうと介護をする人の負担が増え、心身への影響も懸念されます。
地域の福祉サービスを上手く使いながら、無理のない介護をしていきましょう。
経済的な不安が大きい
一家の家計を支えている方が若年性認知症になってしまった場合、就労が困難(休職・退職)になってしまうと経済的な不安も大きくなります。
2.「若年性認知症」の徘徊にこそGPSに頼るべき理由
昼夜問わず症状が現れる徘徊は、介護者にとって負担がとても大きなものになります。
若年性認知症の徘徊は、高齢者の徘徊と比べて以下のような違いがあります。
● 体力がある
● 行動範囲が広い
● 移動スピードが早い
● 保護までに時間がかかる
高齢者の徘徊とは異なり、特にGPSに頼りたい理由
それぞれ詳しく説明していきます。
体力がある
若年性認知症の発症年齢平均が51.3歳となっており、40〜60代の働き盛りで発症することが多いため体力もあります。
知らない間に外出して長時間歩き回り、自宅から遠くまで行ってしまったという事例も。
行動範囲が広い
体力がある分行動範囲も広くなり、発見場所の特定が困難になってきます。
介護者の負担も増加するため、GPSの導入をして認知症の徘徊対策をしておくといいでしょう。
移動スピードが早い
若年性で発症した場合移動のスピードも速いため、発見・保護するまでに時間がかかってしまいます。
追跡機能があるGPS機器は、立ち寄る場所などをあらかじめ予想でき、早期発見・保護につながります。
保護されるまでに時間を要する
GPS機器を持たずに徘徊した場合と、GPS機器を持って徘徊した場合とでは、保護されるまでの時間が違ってきます。
徘徊時にGPSを持っていれば、命に関わる事故の確率が低くなるため、積極的に活用できると良いでしょう。
周囲から気づかれにくい
認知症=高齢者というイメージが根付いているのもあり、若年層の認知症は見た目での判断が難しくなります。
「徘徊」ということに気づかれずに、そのまま見過ごされてしまうことも。
3.若いからこそ高齢者と同じ徘徊対策が必要
認知症による徘徊は、無理に止めようとすれば、その分興奮し暴言や暴力へと繋がることもあります。
徘徊行動には、理由や目的を持っていることが多いため、まずは本人の気持ちに寄り添い話を聞いてあげましょう。
その上で高齢者や若年者関係なく、徘徊に関しての安全対策をしておくことをおすすめします。
例えば
● 持ち物に名札をつける
● GPS機器を持ってもらう
● 見守りネットワークなどの活用
などです。
持ち物に名札をつけることも十分に対策効果はありますが、プライバシーの保護からみると課題もあります。
一方で、GPS機器は取り入れやすくプライバシーも守られるというメリットがあるため、一般的な対策として普及しています。
認知症の徘徊対策に特化した「認知症徘徊GPSセンター」では、手軽にGPS機器のレンタルや購入ができます。
特徴は
● 小型なので持ち運びが簡単
● 介護保険外サービスで誰でも使える
● 更新は1カ月ごとなのでいつでも解約ができる
● 現在位置のほか移動経路の把握ができる
実際にGPS機器を使っている方のからの口コミでは
● 万が一のために備えておいてよかった
● 行動記録からどんな動きをしているのか分かる
● 仕事中常に見られないのでメール配信が助かった
などといった声が多く寄せられています。
本人や家族の安心と、介護者の仕事や家庭の負担を少しでも軽減するのにGPS機器の利用は最大のメリットを持っていると言えるでしょう。
認知症徘徊GPSセンターのGPS機器は、介護保険外のサービスになるため誰もが最短翌日から利用が可能です。
GPSを導入する際に多く聞く課題「拒否されるかもしれない」「いつまで使うか分からない」という事でお悩みの方でも、初期費用が不要でお手頃な価格からスタートでき、また月単位での解約(解約手数料なし)が可能です。
徘徊行動に困っているのであればぜひ一度、検討してみると良いでしょう。
4.まとめ
若年性認知症は、年齢のせいから認知症の診断が難しく、うつ病など違う病気を疑われることがよくあります。
また「認知症」を患ったという精神的なダメージも大きいです。
若年性認知症は完治させることは難しいですが、早期発見、早期治療できれば、進行の速度を緩めることができます。
地域の福祉サービスやGPS機器などを上手に活用しながら、無理なく「認知症」と付き合い、本人や家族が社会から孤立しない体制になることを願っています。
参考記事
・若年性認知症の 生活実態に関する調査 報告書(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
・認知症ーこころの病気を知る(厚生労働省)
・若年性認知症ハンドブック(厚生労働省)
執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士7年目の30代2児の母。介護職の楽しさを発信するためwebライターとしても活動中。大学卒業後、金融機関に就職するもやりがいを感じられず介護職に転職。デイサービス→結婚を機にリハビリ施設へ。介護士として毎日楽しく高齢者に寄り添いながら働いています。