認知症徘徊コラム

認知症徘徊。GPSの早めの利用を「おすすめ」する理由

認知症は初期の段階から”徘徊”と呼ばれる症状がみられることがあります。
ただの物忘れだと思っていたら急に迷子になった、ということがあったなら、それは認知症の初期症状かもしれません。
認知症の徘徊はある日突然始まり、認知症の進行とともに症状が悪化する傾向があります。
本人の安全のためには、早めの対策が欠かせません。
もし徘徊が始まる前から、日常的にGPSを利用していればいつでも本人の位置が把握できます。
しっかりしているころからGPSを利用する習慣がついていれば、徘徊が始まってもどうやってGPS端末を持ってもらおうかと悩むこともありません。
認知症が進行してから認知症の様々な症状に対して対策を講じるのは、介助者にとって大きな負担です。
今回の記事では、実際にGPSを利用している方の声や、認知症の早期発見の大切さについて説明していきます。
ぜひ最後までご覧ください。

1.初期症状で徘徊がみられるアルツハイマー型認知症

令和元年の「認知症施策の総合的な推進について」によると認知症の中ではアルツハイマー型認知症が最も多く67.6%をしめています。
そしてアルツハイマー型認知症は徘徊が起こりやすい認知症です。
また、日本全国の行方不明者数は徐々に減ってきていますが、認知症による行方不明者数は年々増加傾向です。
つまり、認知症の疑いがあった時点で徘徊対策しておいたほうが安心だということになります。

2.認知症対策はGPSが便利

認知症の高齢者が行方不明になった時の介助者の心労は計り知れません。
警察や市にも連絡を取りつつ、どこに行ったか分からない人の捜索をしなければならないからです。
しかし、GPS端末をご利用いただければ、もし徘徊で迷子になったとしてもすぐに本人の居場所を把握することが可能です。
実際、こちらの認知症徘徊GPSセンターでも、ご利用いただいたお客様から次のような感想が寄せられました。

■奈良県
父が認知症を患い、出先で勝手にいなくなることで家族が大変な思いをしたので、こちらを利用させていただきました。こちらを使い始めてから迷子になる事件は起きませんでしたが、いつでも居場所を把握できるというだけで、家族の安心感が全然違いました。認知症になっていなくても、離れて暮らす高齢家族がいる場合にも見守りとして役立つのではないかと思います。終始メールでの質問などにも丁寧に対応いただき、気持ちよく利用することができたので大変感謝しております。今までありがとうございました。

■静岡県
認知症で徘徊してしまう祖母のために契約しました。契約以前は何度も警察や市内放送にお世話になり、親戚にも協力してもらいながら捜査していました。こちらを契約してからは、心配しながらもGPSがあるから大丈夫とだいぶ心理的に楽になり、危なくないエリアまでなら祖母の好きなように徘徊させたりもできました。結果、ストレスが解消されるのか怒りっぽくなることが緩和され、夜も割とすぐに寝るように。しばらくすると、自由に外出できると言う心理的な開放感からか、高齢による体力的もしくは認知症の進行によるものかわかりませんが、徘徊頻度がぐんと減りました。
ちなみにこちらで購入させていただいたセットの靴は、祖母にプレゼントとして渡したのですが、とても喜んではいていました。高級感があり、履き心地も良いようでした。

このようにGPSを利用して対策することで、実際に迷子になったとしても介助者の心労を減らすことができます。
今回は二つの事例をご紹介しましたが、共通して言えるのはGPS端末を利用する以前に認知症を持つ高齢者が迷子になって大変な思いをしたことがある、という点です。
この事例ではGPS端末を拒否なく利用していただけましたが、認知症が進行してから
「これは必要だから持ち歩いて。」
とお願いしても拒否されたり、言ったことを忘れてしまうことが多くあります。
しかし、本人がまだしっかりしているうちからGPS端末を持ち歩く習慣をつけておくと症状が進行しても心労を減らすことができるでしょう。
認知症は本人の意思が確認できる時期での早期発見、対策が何よりも大切なことなのです。

3.認知症にはMCI(軽度認知障害)のサインで気づく、早期発見が大切

認知症で大切なのは早期発見です。
そのためにはMCI(軽度認知障害)の段階で自分が認知症かもしれないと気づく必要があります。
MCIとは認知症と健康状態のちょうど中間で、この時点で適切な対応ができれば認知症が回復する可能性もあるのです。
例えば脳血管性認知症は早期発見できれば、生活習慣を見直し、血行改善、脳トレーニングによる適切な刺激を与えることで症状を抑制、改善することが可能と言われています。
早期発見の重要性は、アルツハイマー型認知症でも変わりません。
一口にアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と区別されていますが認知症の原因は一つだけでなく、様々な原因が重なっていることもあるからです。
つまり、アルツハイマー型認知症であっても、脳血管にもダメージがあった場合は生活習慣や脳トレーニングで認知症の改善が見込めることがあります。
また、認知症の原因において脳血管性認知症はほとんど関係なく、アルツハイマー型認知症特有の症状だけが徘徊に対して大きな影響を及ぼしていたとしても、早期発見できればアルツハイマー型認知症は薬によって進行を遅くすることが可能です。
厚生労働省によると以下の特徴が当てはまればMCIの可能性があります。
①以前と比べてもの忘れなどの認知機能の低下がある、本人が自覚している、または家族等
 によって気づかれる
②もの忘れが多いという自覚がある
③日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない
これらの症状は、③の「日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない」という点から特に危機感のある症状ではないので見過ごしやすいポイントです。
しかし違和感を見逃さず本人や家族が少しでもおかしいなと思ったタイミングで専門機関に受診することで、それ以降の認知症の症状に対して対策を講じやすくなるでしょう。

4.早期発見、対策で介護負担の軽減を図る

認知症は本人と意思の疎通がしっかりとれる初期の、少し違和感を感じる程度のタイミングで介入することがとても大切です。
違和感をそのままにすると、認知症の進行は止められず徘徊や物忘れなどの症状に振り回されてしまいがちですが、認知症を早期発見できれば、1人で抱え込む必要もありません。
早めに気づくことで、予防教室などを利用し地域の力を借りることできるので、あらかじめ認知症とはどういうものなのか、どういった対応をしたらいいのかということを学べます。
さらに意思がはっきりしている間にGPS端末の持ち歩きを習慣づけていれば、認知症が進行し突然徘徊が始まっても慌てずに対処できるでしょう。
ぜひ介助者だけでなく要介護者本人のためにも日常生活の”あれ?おかしいな”に気をつけてください。
そしてタイミングを逃さずGPS端末の持ち歩きなど「早めの対策」をすることをおすすめします。
最後までご覧いただきありがとうございました。

今回の記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです

参考記事
・認知症施策の総合的な推進について(厚生労働省)

https://www.ninchisho-haikai-gps.com/gps_rn/wp-content/themes/cure_tcd082/img/common/no_avatar.png

執筆:岸田 梨江(介護福祉士、管理栄養士)
知的障がい児支援に10年携わり、現在高齢者介護施設勤務
豊富な経験を基に様々な視点から情報を提供いたします。

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