認知症の高齢者の徘徊対策として、GPS機器を実際に導入したものの
・GPS端末を持たない、外してしまう
・どうしたら持ってくれるのか
というご家族の悩みは多く聞かれます。
持ち出し策としては主に「専用シューズ」に埋め込むタイプがありますが、本人が気に入る靴でなかったり、靴を毎回履かなかったりしたら意味がありません。
「靴のデザインが気に入らないようで履かなかった」「靴が合わなくて履かなくなった」などという声も実際にあります。
そこで、当センターではGPSを最大限に活用してもらうために,
より手軽な「お守り」に入れて持ち出してもらうのはどうかと考えました。
「お守り」は高齢者にとって親しみがあり、GPS端末を持つことに抵抗のある方でも自然に持ち出してもらえる身近なもの。
今回の記事では、GPS端末を持ち出してくれないなどのお悩みを持つご家族を一番に考え、当センター独自で製作した「専用お守り」の魅力を中心に紹介します。
「専用お守り」は、お客様の声を反映させ、質感やデザイン、使いやすさなどにこだわって製作したお守りです。
本記事を読んでGPSを持ち出せる糸口が見つかれば幸いです。
1.認知症の徘徊対策で持つGPS機器には「専用のお守り」
認知症の方の徘徊対策としてGPSを持ってもらうには、高齢者になじみのある「お守り」が身近で取り入れやすいということを説明しました。
その理由には
1: 高齢者にとってお守りは親しみやすい
2: お守りを持つことに抵抗がない
3: 手軽に取り入れられる
というメリットがあり、GPS機器を持ち出してくれないというご家族の悩みの解決にも繋がります。
また、機器をそのまま持ち出すことは認知症の方、特に「こんなもの持ちたくない」「必要ない」と思っている方の尊厳を傷つけてしまう場合もあります。
本当に必要ないと思っている、または他人の目が気になるという理由から「持ちたくない」に繋がっていると考えられ、そのマイナス面を少しでも軽減するために「お守り」はとても有効になってくるのです。
2.認知症徘徊GPSセンター「専用お守り」の特徴とこだわり
お守りに入れることで自然に溶け込み、GPS端末を持ち出すことに抵抗している方や、利用者本人の尊厳を守ることも可能になります。
認知症徘徊GPSセンターがご家族の声を元に製作した専用のお守りの特徴とこだわりを紹介します。
認知症徘徊GPSセンターでは、50種類ほど多くのお守りに実際にGPS機器を入れようと試みたものの入らず、独自でお守りを製作する事に至りました。
①高齢者に親しみあるデザインと生地
本物のお守りが作られている製造会社に依頼しGPS機器専用お守りを製作しているため、本物とほぼ同じデザインや生地になっています。
また、生地が薄いとGPS端末機器が入っているという違和感が出てしまい、外す可能性も高くなるためそれを防ぐために生地の厚みにもこだわっています。
②一般的なお守りにはない「マチ」を作る
神社仏閣にある一般的なお守りのサイズは、横3cm〜5cm×縦5cm〜8cmの長方形サイズで、中身は紙や木などの御札のため、当然ながら「マチ」は作られていません。
専用のお守りは、横6cm×縦8cmの特注サイズで、マチを作ることによって使いやすくしています。
③中から端末をさっと取り出しやすい
充電する際など何度も端末の出し入れすることを考えて、取り出しやすいよう開閉口を大きく設計した部分もポイントです。他にも生地がほつれにくい、メガネ結びが解けにくいという部分にもこだわっています。
④保護した人が「何か違う」と感じる裏面デザイン
認知症の方の徘徊を保護してお守りを見た際に、違和感を感じてもらうよう裏面デザインは「ケアミックス」の刺繍をしています。
本人の尊厳を守りつつも普通のお守りではないと保護した方に気づいてもらい、お守りの中身を見てもらえる工夫をしています。
3.GPS専用のお守りを使用した実際の感想
認知症徘徊GPSセンターの専用お守りを使ってみた家族の感想や持たせ方の事例など、予想外の出来事も交えて抜粋し紹介します。
①お守りを神棚に飾ってしまった
孫からのプレゼントということで、お守り袋に入れてカバンに持たせていたご家族。普段はカバンから出すことはなかったものの、2、3度神棚に飾って出かけてしまったという予想外の出来事もあったようです。
②持ち出すカバンにつけた
普段使用するカバンが決まっていたので、そのカバンにGPS端末の入ったお守り袋をつけて持ち出しに成功した事例も。
「持ち出すカバンが毎回違い、不思議とGPSが付いていないカバンを持っていくことが多く、持ち出してもらうことが難しかった」という声もあります。
いつも使っているカバンや杖など持ち物が決まっていれば、専用のお守りとの相性は良いのでぜひ取り入れてみることをおすすめします。
4.認知症徘徊用GPSは専用お守りに入れる方がベスト
GPSの持ち出しに苦労されているご家族の為に製作した「専用お守り」
他にも様々な持ち出し策がありますが、高齢者に馴染みのあるお守りは気軽に取り入れることができるものなのではないでしょうか。
一般的なお守りの価格で購入できるため、持ち出させ方に悩んでいるのであれば一度試してみる価値はあります。
そして、在宅介護が増えていく現代社会でご家族の負担が少しでも軽減されることを願っています。
参考記事
・認知症徘徊GPSセンター ご利用案内 専用お守り
・認知症徘徊GPSセンター お客様の声 2019年
・認知症徘徊GPSセンター お客様の声 2020年
・認知症徘徊GPSセンター お客様の声 2021年
・認知症徘徊GPSセンター お客様の声 2022年
執筆:腰塚 侑香里(介護福祉士)
介護福祉士7年目の30代2児の母。介護職の楽しさを発信するためwebライターとしても活動中。大学卒業後、金融機関に就職するもやりがいを感じられず介護職に転職。デイサービス→結婚を機にリハビリ施設へ。介護士として毎日楽しく高齢者に寄り添いながら働いています。