これから日本は高齢化が進んでいくと言われています。
2021年、高齢人口の割合は29.1%になりました。
さらに、認知症を持つ高齢者の割合も増加傾向にあります。
これからの日本では、「年をとっても安心して地域で暮らせる」ことが必要です。
このような傾向から、自治体で認知症を持つ老人の徘徊対策に力を入れているところが増えてきました。
認知症を持つ老人の徘徊があったとき、一番大切なのは、居場所の把握です。
今回の記事では居場所を把握するためのツールにはどのようなものが適しているのか、について説明していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
1.位置情報が確認できるシステム、BluetoothとGPSの違い
認知症を持つ老人の徘徊対策グッズは、名札やQRコードのような簡単なものからセンサーがついたものなど値段も効果も様々なものがあります。
たくさんある徘徊対策グッズの中で、徘徊してしまった後に老人を見つけ出すためには、
”徘徊している老人本人がどこにいるか”を把握するための機能が必須です。
現在の居場所を確認するためのツールとしてよく利用されている徘徊対策グッズにはBluetoothとGPSがあります。
では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
以下ではBluetoothとGPSの違いについて説明していきます。
・Bluetoothでの徘徊対策
Bluetoothとは端末が信号を発信し、受信機がその信号を受信するシステムです。
Bluetoothの信号が発信できる距離は短いですが、受信できれば発信源の位置を正確に把握する事ができるメリットがあります。
認知症での徘徊や高齢者、老人向けの位置情報を確認できるツールとしてBluetoothを利用したタグなどが販売されていますが、これは周囲、数十メートルでの捜索が前提になります。
またBluetoothは信号を発信する距離が短いため、消費電力が少なく半年以上連続待ち受けが可能なものもあります。
それらのメリットを踏まえ、少し前になりますが、国土交通省がALSOKと提携し、認知症の老人徘徊対策にBluetoothを利用して「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」を展開していたことがあります。
この「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」というのは、Bluetooth端末を認知症をもつ老人の所持品(主に靴)に付けて位置情報を周囲の人や企業が受信し町全体を上げて見守るという事業です。
10の地域がこのモデル事業に参加しましたがその後事業継続に至ったのは1地域(湖南市)のみでした。一番の理由は「管轄地域外に出てしまうと位置情報を得られない」でした。
確かに、町全体を上げて徘徊対策をとるというのであればBluetoothも活用できるかもしれません。
しかしそれでは、市町村を越えて徘徊した時に見つけ出すことはできませんし、加えて地域住人の理解・協力が不可欠であるため全国規模での実現は難しいでしょう。
・GPSでの徘徊対策
GPSは人工衛星から信号を受信して、GPS信号を発している端末の位置を特定するシステムです。
天候や建物によって精度が変わることがありますが、全国どこにいてもGPS端末を持つ人の位置を把握することができるメリットがあります。
認知症老人の保護事例では市や県を越えた事例も多くあります。
認知症老人の徘徊は徒歩とは限らず、自転車や電車、バスを利用する可能性があるからです。
捜索範囲が広範囲に及ぶ可能性を考えると、認知症老人の徘徊にはGPSが一番適しているということが言えるでしょう。
2.徘徊対策にキーホルダーサイズのGPSはある?
近年、認知症老人の徘徊は大きな問題であり、GPSの需要は増加傾向で様々な会社が開発、販売をしています。
しかし残念ながらBluetoothの様なキーホルダーサイズのGPSはまだありません。
当センターではGPS端末をお申込みいただいた方に当センター名・ロゴマークが入ったキーホルダーを2つセットで無料で提供しております。
このキーホルダーにもGPS機能はありません。
しかし「認知症徘徊GPSセンター」と記されているので、このキーホルダーを付けていれば万が一GPSを持たずに徘徊してしまい保護された時でも、これが手掛かりになり何とか無事に帰宅してほしいとう弊社の願いが込められています。
3.徘徊から、無事に帰るために
認知症を持つ老人が徘徊して迷子になると、家族の心配は大変なものです。
なにより、無事に帰ってきてほしい。
無事に帰ってくる、そのためには、少しでも早く見つけ出すことが必要です。
弊社のGPS端末は小型で持ち歩きやすいだけではありません。
居場所を地図上に”住所”ではなく”緯度と経度”で表示します。
なぜなら、住所の無い山の中や雑木林に迷い込んでしまった場合、”緯度と経度”が把握できればそれを基に捜索につなげることができるからです。
認知症を持つ徘徊老人ができるだけ多く、無事で帰ることができるように、弊社の製品が少しでもお力になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考記事
・高齢者の人口(総務省)
・認知症の人の将来推計について(日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報)
・行方不明を防ぐ・見つける 市区町村・地域による取組事例(厚生労働省)
・国土交通省「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」
・スマートウェルネス住宅等推進モデル事業成果物
執筆:岸田 梨江(介護福祉士、管理栄養士)
知的障がい児支援に10年携わり、現在高齢者介護施設勤務
豊富な経験を基に様々な視点から情報を提供いたします。